クリスマスイブの夜、大勢の人たちでにぎわっている街中に、真っ黒な身なりをした奇妙な人物が現れる。
彼は黒子。舞台袖で幕を引いたり、物を動かしたりするあの黒子である。黒子の前に一人のさえない男が捨てられる。
彼の名は一二三(ひふみ)
あまりに役立たずな為、とうとう会社の人間にも見切りをつけられてしまったのだ。そんな一二三に同情した黒子は、彼の願いを叶えることになる。そこで一二三は、世捨て人のような存在になってしまった原因である「おもらし事件」を阻止しようと、黒子と共に35年前に向かう。
昭和42年の夏、そこには九一達いじめっ子、一二三のあこがれの英子ちゃん、お母さん等が35年前の姿でいた。もちろん10歳の一二三も。名前にコンプレックスのある彼は、性格も暗くいじいじした子ども。毎日のように九一達にいじめられていた。大人一二三はなんとか小一二三におもらしのことを伝えようとするが、いかにも怪しい雰囲気なので気味悪がられなかなかうまくいかない。そして「おもらし事件」の日・・・
人生最大の汚点を消し去ろうと過去に戻った一二三だったが、ここで自分自身を見つめ直し、今まで気づかなかった大切なことを発見する。人にはそれぞれうまれてきた意味があり、役割があるのだということを。